作業部日誌V3

        

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『思川鉄道』のこと

皆様ご存知のとおり、最近ツイッターにかまけてばかりいるせいで、気がつけば2ヶ月ぶりのブログ更新になってしまったが、ちょうどポン引き氏がおなじみ“TMS○月号を読む”ネタでよりによって386号を投下してきよったwので、以前の或るエントリの続編的な意味合いもこめて、ひとつ『思川鉄道』のハナシなど。

cb_tms386_omoigawa_b.jpg

TMSの386号―'80年4月号の誌面を飾った9mmナローのレイアウト『思川鉄道』については、以前から事あるごとに触れてきた。
それまでNゲージの国鉄本線ものをフツウに楽しむ子供だった自分が、当時地元の駅ビルにあったオモチャ屋(Nゲージやプラモも扱っていた)で立ち読みしたこの記事にどういうわけか心を惹かれ、人生初のTMS自腹購入を果たし、挙句の果てにはすっかりナローゲージ・モデリングの世界に転んでしまって(以下略)…という、思い出深いにもほどがある作品なのだからして。

今では、もしかしたらその名を目にしたとき、新品にて入手可能な『ナローゲージブック2』に収録の『思川鉄道下野木軌道』を思い起こされる方のほうが多いのかもしれない(最初の発表はTMS414号<'82-4>)。
それは386号の『思川鉄道』のスピンオフ的な作品で、500mmゲージという設定で6.5mmを採用、当時(ある意味今でも)珍しい6.5mmのナローによる本格的なシーナリィを備えたレイアウトであり、表現技巧にもすぐれた作品であった。
しかし私の場合、この第2弾を初めて誌上で見た頃にはすでに実物知識も色々吸収途上のクソガキ(w)と化していたもので、ちょこざいにも「設定や車輛(特に機関車)にチト無理があるなあ…」と思っていたのも事実である。

のっけから話が逸れたが、本題は386号に載った“初代”だ。
ナローを始めるキッカケの作品、という贔屓目をひとまず差し置いて、自分はこの記事のどこに魅力を感じたのだろう、と考えてみた。
『思川鉄道』が世に出たのは、ちょうど'70年代末から'80年代初頭にかけての第一次ナローブームとでもいえる頃で、他にも車輛・レイアウトともに秀作が続々と模型誌の誌面を飾っていた時期だった。
もちろんそれらの数多の秀作の中のひとつではあるのだが、今あらためて見ると、設定というかオハナシや作風がとくにトンガっているわけではない、比較的ありふれた9mmナローの味噌汁軽便レイアウト、と言ってしまうこともできる。

trim_a35_091114_002.jpg

しかし、まずこの作品の白眉といえるところは、900x600mmというスペースながら、ヴァーチカル・デプスをたっぷり取った存在感のある全景に、リバースを利用した複雑な線路配置をテンコ盛りにしつつも不自然さを感じさせない、巧みなシーナリィの設計にある。はからずも『小スペースでも実感的なレイアウトが楽しめる』というナローの謳い文句を最大限に体現しており、同じスペースでNゲージを走らせることに不満を抱いていたファンに大いにアピールするものがあったことだろう。

そして車輛たちも、尾小屋や沼尻などのプロトタイプを絶妙にアレンジしてフリーランス化し、さらにはマルーンとオレンジの2色塗りといういかにも“田舎臭い”塗装でキメていて、『軽便=イナカの方で走っている軌間の狭いらしい鉄道』という漠然としたイメージしか持っていない読者のハートにサアーっと沁み込む力を持っている。さらにはその車輛たちが、高価な輸入品や真鍮キットではなく、すべてNの市販品の足回りを利用したプラ板自作であるという点も「(予算・技術の両面で)ボクにも出来るかも!」という気にさせてくれる。
ストラクチャーが駅舎・詰所・単線の庫と必要最低限で、商店やら民家やらがないことも“マネをしよう”と思う者には取っつき易い印象を与える。

要するに、それまでナローを知らなかった読者(とくにNゲージャー)に「これならやってみたい、出来るかも」という“ムラムラ”を沸き起こさせてくれる要素に満ち溢れたレイアウトだったのだ。実のところは相当のセンスと技術の上に成り立っている作品なので、駆け出しの小僧がオイソレと同じようなものは作れやしない(笑)のだが…
山の樹木は、枝の製作は省略してスポンジやナイロンタワシだけで山肌を埋め尽くすかたちで作られているが、実物の山林をよく観察された賜物であろうじつに自然な植生を再現している。また、建物のエイジングやウェザリングの風合いは今日でも通用する出来栄えだといえる。
その辺は、後年、レイアウトコンペの受賞者発表のページで、作者・村瀬一男氏の職業がデザイナーであると知り、どおりで!と合点がいったものだ。

ただ、今にしてみると、このレイアウトでの実際の運転は大変だったのではないだろうか。本線の殆どがトンネル内で、脱線したときのリカバーに骨が折れたことであろうし、勾配が5%とキツく、しかも場所によってレール側面の錆や草生した道床をきっちり再現している線路では、ドックサイドやトミーのCタンク改造の機関車辺りはしばしば立ち往生したのでは…と想像してしまう。

自分にとって『思川鉄道』は、初心に帰らせてくれると同時に、シーナリィの実感味と運転性能をどこまで両立させるか―という、レイアウトを楽しむモデラーにとっての永遠の課題について想いをめぐらせてくれるという意味でも、今なお読み返す価値のある記事となっているのだった。
        
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  1. 2010/03/20(土) 23:29:05|
  2. その他
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

>作者・村瀬一男氏の職業がデザイナーであると・・・
あ~、自分も合点がいきました。第一次?七国山の跡地(180x60)がありますので、このプランをそっくり頂いて、横に引き伸ばしたようなモノを「イベント用」ではない我家のちゃんとした据え付けレイアウトとして作りたい、と妄想しています。
>商店やら民家やらがないことも・・・
これも第一次?七国山の建物を残してありますので、駅をでた列車が町並み沿いの併用軌道を抜け、山へ入っていく、ちゅうセクシー、もとい「ムラムラなシーン」を作れるのでは?と・・・
ピィコの新型ナロー線路が待ち遠しいっす。ヨーロッパ製下半身の車両が多いもんで・・・・
  1. 2010/03/23(火) 15:33:36 |
  2. URL |
  3. ナガウラ #vnrHYOb6
  4. [ 編集]

>ナガウラさん
ごぶさたしております!ボックスキャブ死闘?編、手に汗握りながら拝見しておりましたが、しっかりケリをつけられましたね。お見事!

それにしても、新たな野望―町あり、山ありの欲張りプラン、楽しみです。完成の暁には、こんどこそ皆で北九州遠征を実現したい…(^^)
  1. 2010/03/24(水) 02:15:43 |
  2. URL |
  3. cjm #PBKNf/Mk
  4. [ 編集]

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このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2013/10/30(水) 01:10:56 |
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  3. #
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